推理小説を主に読むミステリーファンの感想メモ

推理小説とミステリーと

ミステリーファンに聞く!本当に面白い推理小説20選

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先の展開が気になりページをめくる手が止まらなくなる推理小説。

でも最後まで読み進めたものの、犯人やトリックにがっかりしてしまった経験を持つ方も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、筆者が実際に読んでみて本当に「面白い!」と感じた推理小説を10選ご紹介しましょう。

「屍人荘の殺人」今村昌弘

2018年「このミステリーがすごい!」第1位の作品。

主人公葉村譲は、神紅大学のミステリー愛好会に所属している。
ある日葉村は、ミステリー愛好会の会長明智恭介とともに、いわくつきの映画研究部の夏合宿に潜り込むことに。
同じ大学の美少女探偵剣崎比留子も彼らに同行し、夏合宿が行われているペンション紫湛荘へ。
そんななか想像を絶する事態が発生し、連続殺人が幕を開ける。
犯人は誰なのか、葉村、明智、比留子の運命は!?

あまりにも奇抜な設定に、「問題作!?」と議論にもなったこの作品。
そんな奇抜な設定ながら本格ミステリーに仕上げた作者の手腕は「お見事!」の一言。
ネタバレ絶対厳禁!の作品なので、まずは読んでみて、その結末を確認してみてください。

「夢幻花」東野圭吾

鮮やかな伏線回収がたまらない計算され尽くされたミステリー。

花を愛する老人周治が殺され、その遺体の第一発見者となった孫娘の梨乃。梨乃は祖父の庭にあった黄色い花の鉢植えがなくなっていることに気づき、そのことをブログにのせる。このブログがきっかけで大学院生の蒼太と出会い、2人は事件を解決しようと奮闘する。

この事件をめぐる様々な人たちの人生が交錯し、後半にパズルのピースが次々とはまっていくように、それぞれの人生が結びつき伏線が回収されていく様は、本当に「お見事!」というほかありません。東野圭吾作品の真骨頂といっても過言ではない作品です。

「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」村上春樹

推理小説の構造をもたない推理小説。

駅を作る仕事をしている多崎つくるは、大学2年生のころに高校時代の友人たちから突然絶交を言い渡される。思いを寄せる女性沙羅から、その理由を探ってみてはと提案され、多崎は高校時代の友人に会いに行くことに。

この小説は、初見では推理小説と気がつかないかもしれません。もちろん気がつかずに読んでも十分楽しむことができます。しかしこれが推理小説であることに気がつき考察しながら読み進めると、実に巧妙に「犯人」の謎とヒントが散りばめられていることに気がつきます。普通の推理小説に飽きた人、考察好きな人におすすめです。

「謎解きはディナーのあとで」東川篤哉

推理小説初心者におすすめ。

主人公の令嬢刑事宝生麗子は、世界的企業「宝生グループ」の娘。難事件に遭遇すると、執事の影山に相談するのだが、そのたび「失礼ながら、お嬢様の目は節穴でございますか?」と毒舌を浴びせられる。そんな2人が難事件を解決する様を、ユーモラスに描く

ドラマ化もされたこの作品は、普段あまり読書をしない方、推理小説初心者の方に特におすすめです。ユーモアを交えテンポよくストーリーが進んでいくので、サクサク読み進められます。謎解きだけでなく、宝生麗子と執事の会話も面白くてクセになります。

「誰か Somebody」宮部みゆき

人気の杉村三郎シリーズ1作目。

杉村三郎は、妻の父の会社である今多コンツェルンの広報室に勤めている。杉村はある日義父から、義父の専属運転手をしていた梶田信夫の娘が、「父の本を作りたい」と言っているため相談にのってやってほしいと依頼される。梶田は自転車にはねられて頭をぶつけ亡くなっており、犯人はまだ捕まっていない。依頼を受けた杉村は梶田の過去を探り、意外な事実を知る。

ドラマにもなり大人気の杉村三郎シリーズの1作目です。読むごとにどんどん謎が増えていき、ページをめくる手が止まりません。ラストの展開は、賛否両論分かれるところでしょうが、これによりリアル感や杉村の人間臭さが浮き彫りになったとも感じました。

「配達あかずきん―成風堂書店事件メモ」大崎 梢

本と本屋さんが好きな方におすすめ。

主人公の杏子は、書店成風堂の書店員。書店で巻き起こる小さな事件や謎を、頭の良い大学生アルバイト多絵とともに解決していく。

舞台が書店という少々変わった推理小説です。書店をめぐる様々な人間模様が生き生きと描かれており、短編集ということも相まってあっという間に読み終えてしまいました。作者が元書店員ということもあるのか、リアリティもあります。全体的にほのぼのとした雰囲気なので本格ミステリーは苦手という方でも楽しめそうです。本と本屋さんが好きな方は、より世界観に没頭できるのではないでしょうか。

「アクロイド殺し」アガサ・クリスティー

フェアか、アンフェアか?

「名探偵ポアロ」シリーズの3作目。村の名士アクロイド氏が殺され、その事件の詳細を医師のシェパードが語るというスタイルで物語が進む。犯人は一体誰なのか。名探偵ポアロがその謎に挑む。

発表当時は「これはフェアなのか?」と話題になったのだそう。推理小説が好きな方は、もしかしたら物語の序盤で犯人に気がついてしまうかもしれません。それでも鮮やかなトリックや伏線には驚かされます。まだ読んだことがない方は、まずは先入観なしに読んでみてほしい作品です。

「殺人鬼フジコの衝動」真梨幸子

計算され尽くしたイヤミス。

殺人鬼フジコは、一家惨殺事件のたったひとりの生き残りだった。なぜ彼女は殺人鬼となってしまったのか。

いわゆる後味の悪くなる「イヤミス」です。グロい表現などがあり、苦手な方も多いかもしれませんが、最後の最後の衝撃がとにかくすごい!作者にしてやられたという気持ちになりました。これからこの作品を読む方は、あとがきまで必ず読んでくださいね。

「すべてがFになる」森博嗣

トリックだけでなくキャラクターも魅力的。

天才プログラマー真賀田四季は、幼い頃から孤島の研究所に隔離されて暮らしている。その彼女の部屋から、ウェディングドレスをまとった両手両足を切り取られた死体が見つかった。偶然島にいたN大助教授の犀川創平と女子学生の西之園萌絵は、この難解な事件に挑む。

ドラマ化もされた、犀川と西之園が活躍する人気シリーズの1作目です。ミステリー要素だけでなく、それぞれのキャラクターや人間模様も魅力的に描かれており、ストーリーに没頭できます。20年ほど前の作品なのにVR技術が登場するなど、まったく古さを感じさせないところも見事です。

「占星術殺人事件」島田荘司

謎解きの面白さを味わい尽くせる。

御手洗潔シリーズの1作目。一人の画家が密室で殺され、その画家の手記にはおぞましい計画が。そして彼の死後、その手記を彷彿とさせる事件が起こる。事件から40数年たつも、トリックは謎のまま。その謎に御手洗潔が挑む。

とにかくトリックが「すごい!」の一言。ぜひ一緒に推理しながら読み進めてみてください。推理小説の醍醐味である謎解きの面白さを堪能できる作品です。

「神様ゲーム」麻耶雄嵩

講談社から小中学生向けに発行されていたミステリーランドというシリーズの中の一冊です。あらすじはヨシオくんという少年が率いる少年探偵団が「連続猫殺し事件」の犯人を捜すところから始まります。しかし、まず問題が会って、この小説は全く子ども向きではありません。子どもにおすすめするのは止めた方がよいとすら言えるでしょう。子ども向けのレーベルから出てますので、文章はわかりやすく平易なのですが、内容はちょっとどころか大人でも難解と言いますか、刺激が強すぎますし、前衛的過ぎると言えるでしょう。ネタバレになるので言えませんが、特にラストは衝撃で固まってしまう人が続出するのではないでしょうか。ミステリー小説をさんざん読んできて、もう一般的なものは飽きた人におすすめです。また読後感はこれ以上ないと言うほど最悪なので、その点もご注意ください。

「後悔と真実の色」貫井徳郎

ストーリーはそれほど突飛なものではなく、若い女性を殺害して人差し指を切り取るシリアルキラー「指蒐集家」VS捜査一課の刑事である西條輝司の勝負なのですが、読者の予測を裏切り続けるストーリーが秀逸でページをめくるのをやめることができません。人間臭い刑事が多数、登場するのですが、特に主人公の西條刑事がとても魅力的です。しかし作者はそんな彼をこれ以上ないほどの過酷な境遇に追い込み、物語は驚愕のラストまでノンストップで突き進みます。

「彼女がその名を知らない鳥たち」沼田まほかる

予備知識を全く入れずに読んだ方が良いミステリーの典型です。ストーリーは主人公の十和子は十五歳上の男・陣治といっしょに住んでいますが、この男がちょっと信じられないくらい下品で、汚らしく、貧乏で知性の欠片もないのですが、なぜか最終的に読者はこの男の幸せを激しく願うようになってしまうのではないでしょうか。作者はひたすらに偏執的に人間の醜い部分を掘り上げることで、読者の美醜の価値観を逆転させてしまうというアクロバットな奇跡の一冊です。

「機龍警察」月村了衛

近接戦闘兵器体系・機甲兵装である「龍機兵」とその乗組員である姿俊之ら3人の傭兵たちが日本の警察組織の中で事件に立ち向かうという近未来小説です。「竜騎兵」というのは簡単に言うとロボットなので、ミステリー小説との相性がよくないのではと思いがちですが、この小説は紛れもなく超一級の刑事小説であり、ミステリー小説です。

「未必のマクベス」早瀬耕

この小説はミステリー小説でありますが、恋愛小説でもあり、ビジネス小説でもあります。そのような小説は過去にもあったのですが、この「未必のマクベス」ほど、様々な小説ジャンルをまたぎながら、どっちつかずになることなく、全てが高いレベルとなっているものは私は初めて読みました。

「Aではない君と」薬丸岳

主人公の十四歳の息子が死体遺棄容疑で逮捕されます。弁護士に何も話さない息子から話を聞くため、父は付添人となり、息子の心の闇を知ろうとします。少年犯罪と真摯に向かい合い執筆を続ける薬丸岳の到達点と言える記念すべき作品です。

「第三の時効」横山秀夫

日本小説界が誇る熱い刑事小説を書かせたら右に出るものがいない横山秀夫の初期の傑作です。短編集ですが、どの作品も全く無駄がなく冗長な個所など皆無の完成度です。刑事小説というものを何回、濾して、どれだけ絞って凝縮したらこのような作品が生まれるのでしょうか。

「リピート」乾くるみ

「イニシエーションラブ」でミステリー好きを熱狂させた乾くるみのもうひとつの大傑作です。設定はSF要素が入っていますが、紛れもなく、本格推理と言えるでしょう。「リピート」というタイムスリップに成功した若者たちが次々と不可解な死を迎える中、主人公はその謎を解き、仲間たちの死を防ぐために奔走します。

「GOTH」乙一

二十年前の作品とは全く思えないほどの斬新さと面白さです。人間の暗黒部分に惹かれる「僕」とクラスメイトの森野夜が出会う猟奇事件が描かれます。稀代の天才、乙一の衝撃のデビュー作は今も色褪せることなく、歪な暗く深い小説体験を望む人にのみオススメできる傑作暗黒ミステリーです。

「ジェリーフィッシュは凍らない」市川憂人

新機能を搭載した次世代型航空機、ジェリーフィッシュのテスト飛行中に、密室状態の艇内で搭乗員の一人が死体となって発見されます。その後も密室状態の中でさらに殺人が続き次々と犠牲者が増えていきます。「そして誰もいなくなった」や「十角館の殺人」が好きな人におすすめの本格ミステリーです。

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