世の中には多くの推理小説が存在しており、さらに毎年多くの推理小説が新たに出版されています。
そこでここでは、おすすめの推理小説をランキング形式で30選ご紹介しましょう。
1位 たかが殺人じゃないか 辻真先
2020年5月出版の、「2021年このミステリーがすごいランキング1位」の作品。
舞台は昭和24年の名古屋。
主人公、風早勝利は推理小説研究会の仲間たちと旅行に出かけ、旅先で密室殺人事件に、さらに夏休み最終日には起きた首切り殺人事件に遭遇する。
主人公はこれらの事件をどう乗り切るのか。
この推理小説は、探偵・那珂一兵のシリーズの2作目です。
舞台が昭和24年ということで、現代にはないその時代特有の価値観などが物語に反映されているところが見どころ。
古典ミステリーが好きな方に特におすすめの推理小説です。
この小説の作者はなんと88歳!その点にも驚かされます。
2位 ブート・バザールの少年探偵 ディーパ アーナパーラ
2021年度アメリカ探偵作家クラブ賞 最優秀長篇賞受賞作品。
主人公はインドのスラムに住む9歳の少年ジャイ。
ある日ジャイのクラスメイトが行方不明になるが、大人たちはあてにならない。
そこでジャイは友人とともにクラスメート探しを始めるが…。
インドの社会が抱える実際の闇を扱った重苦しいテーマですが、少年探偵を絡めることで軽快で明るい読み口となっています。
子どもたちがこの先も力強く生き抜いていけることを願わずには入られませんでした。
社会派な作品やドキュメンタリーが好きな方にとくにおすすめの推理小説です。
3位 Another2001 綾辻 行人
「2021年このミステリーがすごいランキング3位」の作品。
本格ミステリー×ホラーという新ジャンル確立で人気となった「Another」の新作で、舞台はAnotherの3年後。
夜見北中3年3組で起こった厄災に立ち向かう、中学生たちの奮闘の物語。
「鈍器」と言われるほどの分厚さながら、とにかく続きが気になり1日で読み終えてしまいました。
Anotherを読んでいる方は、ドキドキしながらあっという間に読み終えること間違いなしです。
さすが日本を代表するミステリー作家と唸らされます。
ただし1日いっぱい予定のない日に手をつけることをおすすめします。
4位 透明人間は密室に潜む 阿津川 辰海
「2021年版本格ミステリランキング・ベスト10・1位」の作品。
SF、法廷系、探偵系、脱出系と設定が異なる4作品を集めた短編集。
すべて設定が異なるので、飽きずにさくさく読めます。
「推理小説を読みたいけど、なかなか時間がない」という方に特におすすめです。
阿津川作品の魅力は、緻密ながらすっきりとわかりやすい読み口にありますが、その魅力を存分に感じられます。
5位 沈黙のパレード 東野圭吾
人気のガリレオシリーズ。
行方不明となっていた街で人気の娘が遺体で発見された。
容疑者として上がったのが、草薙が以前担当した事件で無罪を言い渡された男だった。
しかし今回も十分な証拠が上がらず、このままだと釈放されてしまう。
そこで草薙は、湯川に助けを乞う。
大人気のガリレオシリーズです。
これぞ東野圭吾!といったエンタメ要素満載のスケールの大きさと、緻密なトリックを楽しめる推理小説に仕上がっています。
また湯川のキャラが、ドラマのガリレオシリーズに寄っていってるところもドラマのガリレオシリーズ視聴者には嬉しいポイントではないでしょうか。
6位 ユージニア 恩田陸
日本推理作家協会賞受賞の作品。
最初に会った瞬間犯人がわかってしまった主人公。
そこから解き明かされていく、数十年前の無差別殺人事件の真実とは?
バラバラに語られる事件の関係者による証言が、最後にパズルができあがるように組み上がり、全貌が明かされます。
伏線回収系の推理小説が好きな方に特におすすめです。
結末がわかった上で、もう一度読み返したくなりますよ。
7位 オクトーバー・リスト ジェフリー・ディーヴァー
2021年3月に出版された、どんでん返しが得意な作家ジェフリー・ディーヴァーの作品。
最終章からはじまり、第1章へとさかのぼる時間が逆行する構成となっている。
時間軸を遡るごとに明かされる謎に驚愕。
すべての真相が浮き彫りとなるラスト2章は必見。
ホワットダニットを存分に楽しめる推理小説です。
物語の構成上、最初は謎だらけで読み進めるのを苦痛に感じる方もいるかもしれませんが、全てが明かされるラスト2章の爽快感は最高です。
全てが明かされた上で読み返すと、また違った楽しさが味わえます。
8位 虹果て村の秘密 有栖川有栖
12歳の秀介は、将来推理作家になりたいと思っている。
そんな秀介は、夏休みを同級生の優希とともに虹果て村で過ごし、殺人事件と遭遇する。
2人は力を合わせ、殺人事件に挑む。
本格推理小説作家である有栖川さんのジュブナイル。
本格的な推理小説ながら、子どもにも読みやすい文体となっており、推理小説初心者さんや中高生に特におすすめです。
子どもが主人公ということで、爽やかでほのぼのとした読後感となっています。
9位 噂 荻原 浩
新ブランドの香水を売り出そうと、ブランド側が広めた香水にまつわるおぞましい都市伝説。
戦略通り香水はヒットとなるが、噂が現実となったような事件が発生する。
結末に賛否両論が集まっていますが、最後までハラハラドキドキして目が離せなくなる作品です。
最後の最後で恐怖に陥れられるというかなり後味の悪い読後感で、イヤミス好きな方は好みかもしれません。
10位 昨日がなければ明日もない 宮部みゆき
人気の杉村三郎シリーズ第5弾。
ちょっと困った女たちを相手に私立探偵杉村三郎が奮闘する短編集。
杉村三郎の人柄が、これまでの作品以上に魅力的に描かれている作品です。
短編集なので、時間がない時でもさらっと気軽に読めるところもこの探偵小説のおすすめポイント。
今回は女性に特化した物語なので、女性作者ならではの視点が生かされていると感じられます。
読後感の悪いストーリーもありますが、杉村三郎シリーズならではのほのぼのとした雰囲気で、重くなりすぎないところも魅力です。
11位 黒猫の遊歩あるいは美学講義 森 晶麿
「第1回アガサ・クリスティー賞受賞」の作品。
美学・芸術学を専門とする大学教授「黒猫」と、彼の「付き人」である大学院生が、日常の謎を美学とエドガー・アラン・ポウの知識を通して解き明かす。
文学の評論と謎解きを掛け合わせた、新感覚の推理小説です。
文学に関するウンチクが詰まっており、推理小説が好きな方だけでなく、文学研究などが好きな方にもたまらない内容でしょう。
謎解きのロジックも筋が通っておりスッキリしますよ。
12位 猫弁天才百瀬とやっかいな依頼人たち 大山 淳子
婚活中でお見合い30連敗の、冴えないけれど天才の弁護士百瀬太郎は、事務所で多くの猫を飼っており、通称猫弁と呼ばれている。
そんな猫弁が、少し変わった依頼を解決していく心温まる推理小説。
TBS・講談社ドラマ原作大賞受賞作で、ドラマ化もされている。
猫弁の人の良さに、読み終えると優しい気持ちになる推理小説です。
猫弁以外の登場人物もみな魅力的でいい人揃い。
ストレスでささくれだった気持ちが癒されますよ。
日常の謎を解決する系の推理小説が好きな方や、ストレスが溜まって癒しが欲しい方に特におすすめです。
13位 アマテラスの暗号 伊勢谷 武
ゴールドマン・サックスに勤めていた賢司は、40年以上ぶりに父と会う予定でいたが、再会の日にその父がホテルで殺害されたと聞かされる。
父は古い歴史のある神社の宗家出身で、宮司を務めていた。
父はなぜ殺されたのか、賢司はゴールドマンサックス時代の友人たちと謎を解決しようとする。
殺人事件の謎ととともに、日本にまつわる謎も明かされる歴史ミステリーです。
多くの人が知っている日本の表の歴史だけでなく、都市伝説界隈でよく語られる日本の裏の歴史にも迫る内容。
「フィクション」といいながら、「実はこれが真実なのでは?」と思わせられる緻密なロジックに脱帽でした。
歴史や都市伝説が好きな方に特におすすめの推理小説です。
壮大なスケールで、映画化しても面白いかも?
14位 占星術殺人事件 島田荘司
人気の御手洗潔シリーズの1作目。
密室である画家が殺害され、部屋からはその画家が記した手記が見つかった。
その内容はおぞましい殺人事件の計画。
そして彼の死後、その手記の内容に酷似した事件が起こるも事件は解決せず40数年が経過する。
御手洗潔がその謎を解決する。
最近はトリックそのものを楽しむ推理小説が少ないと感じますが、この小説はトリックのすごさが際立ち、推理小説の肝である謎を解くワクワク感を十分味わえます。
ぜひどんなトリックなのか、御手洗潔と一緒に推理しながら読み進めてみてくださいね。
15位 薬も過ぎれば毒となる 薬剤師・毒島花織の名推理 塔山 郁
女性薬剤師毒島が、薬に関する知識を駆使して様々な事件を解決する短編集。
短編集で内容もわかりやすく読みやすので、普段あまり本を読まない方でもスラスラ読めるでしょう。
本の中に薬学に関する知識が登場するので、化学を勉強中の学生さんなどは、楽しみながら知識を得ることができそうですね。
16位 甘美なる誘拐 平居 紀一
第19回このミステリーがすごい!大賞で、文庫グランプリを受賞した作品。
いくつかの事件と関係者が絡み合い、衝撃のラストへ。新感覚の誘拐ミステリー。
誘拐ものの推理小説はたくさんありますが、こういった構成のものはあまりみたことがなく新鮮に感じました。
登場人物のキャラクターがしっかり描かれており、トリックだけでなくストーリーも魅力的で世界観に引き込まれます。
17位 紙鑑定士の事件ファイル 模型の家の殺人 歌田年
第18回このミステリーがすごい! 大賞で大賞を受賞、読書メーター「読みたい本ランキング」第1位となった推理小説。
紙の鑑定士をする主人公が、プラモデル造形家の土生井とともに、それぞれの専門知識を活かしながら事件を解決する。
こちらは単行本と文庫本が出版されていますが、文庫本は大幅に加筆修正されており、より完成度が高くなっています。
これから読む方は、文庫本版がおすすめです。
紙の知識とプラモデルの知識が事件解決に結びつくという展開は、これまであまりみたことがなく斬新に感じました。
色々な推理小説を読んできたという方も、新鮮な感覚で読み進められそうです。
18位 十角館の殺人 綾辻行人
角島に建つ十角形の館を訪れた、大学のミステリ研に所属する7人。
そんな7人が連続殺人事件に巻き込まれる。
最後まで誰が犯人なのかわからず、最後の最後で「あっ」と驚かされます。
予備知識なしでまずは読んでもらいたい、そんな推理小説です。
アガサ・クリスティが好きな方には特におすすめですよ。
19位 medium 霊媒探偵城塚翡翠 相沢 沙呼
2020年このミステリーがすごい! 第1位など、名だたる賞をいくつも受賞した作品。
様々な難事件を解決した経験を持つ推理作家香月史郎は、心に傷のある霊媒師城塚翡翠と出逢う。
翡翠は死者の言葉により事件の謎を解く鍵を得るが、証拠能力がないため、香月の論理力を借りて事件を解決していく。
多くの方のレビューで「ラノベっぽい」と批判されていますが、このラノベっぽさも実は全て伏線だと思っています。
最後まで読んで「やられた」と感じました。
偏見を持たず、まずは読んでみてください。
20位 ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人 東野 圭吾
名もなき寂れた観光地では、観光客を呼び戻す起死回生のプランが進行中だったが、新型コロナによりその計画は頓挫してしまう。
そんななか殺人事件が発生し被害者の娘とマジシャンである叔父が事件解決に挑む。
コロナ禍など最新の時事ネタが盛り込まれており、物語に入り込みやすくなっています。
構成は、犯人とその動機を探るオーソドックスな流れですが、最近は奇をてらったものが多いので、逆に新鮮に感じるかもしれません。
探偵の超人的な能力も見どころの一つです。
21位 13階段 高野 和明
死刑囚には犯行時刻の記憶がなく、冤罪の可能性があった。
刑務官の南郷は、その冤罪を晴らそうと前科持ちの青年三上と事件を調べ始める。
処刑までの時間はあとわずか。
2人は死刑囚を救うことができるのか。
推理小説の中には前置きが長くなかなか物語が始まらないというものもありますが、この推理小説は、そういった冗長な前置きがなくすぐに物語に引き込まれます。
誰が犯人なのか気になり、ページをめくる手が止まらずあっという間に読み終えてしまいました。
22位 シャーロック・ホームズの冒険 コナン・ドイル
長い間愛され続ける名作シャーロック・ホームズ。
超人的な能力のホームズと、その相棒ワトスンとの名コンビぶりが楽しめる作品。
女性翻訳家の手による「ボヘミア王のスキャンダル」など全12編の短編集。
シャーロック・ホームズは様々な出版社から出版されており、翻訳者により読みやすさなどが少しずつ異なります。
石田文子さんの訳は、現代的な言葉遣いを使用しており、読みやすい文章となっています。
23位 三毛猫ホームズの推理 赤川次郎
人気の女性恐怖症で血が大嫌いな片山刑事は、こともあろうに女子大生殺害事件の担当となり女子大の寮に張り込むはめに。
その寮で出会った三毛猫ホームズをひきとった片山は、猫にすごい能力があることに気がつく。
人気の推理小説家、赤川次郎さんの名作三毛猫ホームズシリーズの1作目です。
推理小説フリークの中には、赤川次郎さんの推理小説は初心者向けだと手を出さない方もいるでしょう。
でもこの作品を読むと、なぜ赤川次郎さんが人気なのかわかるはず。
読まず嫌いしている方は、ぜひこの機会に手を取ってみてください。
推理小説初心者から上級者まで、幅広く満足させてくれるでしょう。
24位 仮面病棟 知念実希人
病院にピエロのお面をかぶった強盗犯が立てこもり、病院は密室状態に。
事件に巻き込まれた当直バイトの速水秀悟は、脱出を試みるが…。
映画化もされた人気作です。
現役の医師が描く医療ミステリーということで、リアル感がありまるで自分が事件に巻き込まれたかのような気分でハラハラドキドキします。
注意深く読むとあちこちに伏線が隠されており、推理小説を読み慣れている人であれば、途中で犯人に気がつくかも。
でも自分で推理をして、答え合わせ的に読み進めるのもまた楽しいかもしれません。
25位 化学探偵Mr.キュリー 喜多喜久
大学内で巻き起こる不可解な事件を、大学で化学の准教授をする沖野春彦が解き明かす。
ガリレオシリーズが好きな方には好みの推理小説ではないでしょうか。
日常の謎を扱っているのでガリレオシリーズよりもポップでライトな仕上がりで、さらに読みやすいでしょう。
登場人物のキャラ設定がしっかりしており、謎解きだけじゃなくストーリー展開も楽しめます。
26位 ジョーカー・ゲーム 柳 広司
舞台は戦時中の日本で陸軍が秘密裏に運営するスパイ養成学校D機関。
当時の日本の価値観とは真逆の、「死ぬな、殺すな、とらわれるな」を掟としてスパイを育て上げる結城中佐は、周囲の反感を買いつつ成果を上げていく。
アニメ化もされた推理小説ですが、やはりこの作品特有のスマートな面白さは、文章を読んでこそ堪能できます。
小説の中で繰り広げられる頭脳戦は読者も巻き込んで展開し、注意深く読み進めていてもついついだまされてしまいますよ。
27位 ハサミ男 殊能 将之
美少女ばかりを狙い、喉にハサミを刺すという残虐な手口で殺人を繰り返すハサミ男。
しかしある日次のターゲットと決めていた女性を自分の模倣犯に殺されてしまう。
そこでハサミ男は犯人を探すことに。
パズルのピースが次々と埋まっていくような爽快感を味わえる作品。
どんでん返しもの、叙述トリックものが好きな方に特におすすめの推理小説です。
ネタバレを踏まないよう、前情報なしに読むことをおすすめします。
28位 冷たい校舎の時は止まる 辻村深月
いつもと同じように登校した高校生8人は、ほかに誰もいない校舎に閉じ込められる。
8人は不意に2ヶ月前に亡くなった同級生を思い出すが、誰も同級生の名前と顔を思い出せない。
繊細な心理描写に定評のある作者の持ち味が随所に光る作品です。
それぞれの登場人物の背景などが丁寧に描かれており、推理小説としてだけでなく学園ドラマとしても楽しむことができますよ。
29位 鍵のかかった部屋 貴志祐介
防犯探偵榎本と、弁護士純子のコンビが4つの密室を舞台に起こった事件を推理する。
月9ドラマの原作にもなった人気推理小説。
斬新なトリックと、榎本と純子先生の掛け合いが見どころの推理小説です。
短編集なので、時間がない方でも気軽に読みやすいですよ。
30位 グラスホッパー 伊坂幸太郎
妻を殺害された主人公の鈴木は、犯人の男が車にひかれる瞬間を目撃する。
車に乗っていた男が殺し屋だとわかり正体を探ろうとするが、その男とは別の殺し屋2人と出会い、殺し屋たちの争いに巻き込まれることに。
2015年に映画化もされた人気作品です。
疾走感があり最後まで飽きずに一気に読むことができます。
登場人物が魅力的に描かれており、殺し屋たちにもそれぞれ共感できる一面があります。
ハードボイルドな小説かと思いきや、鈴木のコミカルさがいい意味での軽さを演出しており、バランスのとれた仕上がりになっています。