推理小説は、続きが気になりページをめくる手が止まらなくなるところが魅力です。
そのため中学生くらいの子は、推理小説がきっかけで本を読むことが好きになることも。
そこで今回は、中学生でも読みやすい名作推理小説を30選ご紹介しましょう。
1位 ブート・バザールの少年探偵 ディーパ アーナパーラ
9歳の少年ジャイは、インドのスラムに住んでいる。
ある日ジャイのクラスメイトがいなくなるが、大人たちは相談にのってくれない。
そこで友人たちと協力してクラスメイトを捜索することにするが…。
現在のインド社会が抱える闇を扱っており、重く難しいテーマですが、主人公が少年ということで軽快に仕上がっています。
もともと子ども向けのストーリーなので、中学生にも読みやすいでしょう。
自分の身の回りの世界から、世界に目を向けるきっかけにもなるかもしれません。
2位 怪人二十面相 江戸川乱歩
明智小五郎の宿敵、怪人二十面相との初めての対決のストーリー。
ロマノフ王家のダイヤモンドを奪うという予告状が、怪人二十面相から届く。ダイヤを守ることはできるのか。
怪人二十面相は、日本を代表する推理小説作家江戸川乱歩が子ども向けに創作した推理小説です。
少年探偵団が活躍するので、中学生にもとっつきやすいでしょう。
また殺人事件が起こらないところも中学生向け。
推理小説ならではの楽しさを思う存分体感できるでしょう。
3位 かがみの孤城 辻村深月
学校に行かず家に引きこもりがちな少女安西こころは、ある日部屋の鏡に吸い込まれる。
鏡の中には、こころと似たような境遇の中学生たちがおり、こころはその子たちと絆を深めていくが…。
丁寧で繊細な心理描写が魅力の辻村深月さんの作品は、ストーリーそのものに没頭できます。
しかも中学生が主人公ということで、一層感情移入しやすいでしょう。
長編作品なので、読書が好きな中学生に特におすすめです。
4位 虹果て村の秘密 有栖川有栖
推理小説家を夢見る12歳の少年秀介は、虹果て村で同級生の優希と一緒に夏休みを過ごした。
そこで起こった殺人事件を2人は推理する。
本格推理小説作家として名をはせる有栖川有栖さんの、子ども向け推理小説です。
子ども向けながら本格的な推理を楽しめる内容で、これから推理小説を読み始める中学生にぴったりです。
子ども向けならではの読みやすさと、ほっこりとした読後感は普段あまり本を読まない中学生でもとっつきやすいでしょう。
5位 珈琲店タレーランの事件簿 岡崎琢磨
珈琲店に勤務する女性バリスタの趣味は謎解き。
日常生活の中で巻き起こる小さな事件や謎を解き明かしながら、バリスタ自身も少しずつ成長していく。
人が死なない日常の謎を解決する系の推理小説は、中学生にぴったりな推理小説の一つ。
とくにこの作品は、短編集で文章が読みやすいので、本を読み慣れない中学生でも挫折せずに読むことができそうです。
随所にコーヒーの描写が出てくるので、少し大人になった気分も味わえるかもしれません。
6位 退出ゲーム 初野晴
中高生に人気の「ハルチカシリーズ」の1作目。
とある高校の部員で幼なじみのチカとハルタは、力を合わせて学園の様々な謎に挑む。
高校生が主人公で学校が舞台ということで、感情移入しながら物語を楽しめそうですね。
謎解きだけでなく、謎解きとともに2人の仲間が増えていく様子も楽しめます。
7位 氷菓 米澤穂信
後ろ向きな性格の奉太郎は高校に入学し、姉の命令で古典部に入ることに。
そこでえるという少女と出会い、33年前の事件を推理することに。
高校入学を機に姉の指示で古典部に入部させられる。
そこで出会った少女えるの言葉がきっかけで、33年前の事件を推理することに。
米澤穂信さんといえば、本格的な推理小説や、イヤミスのイメージが強いかもしれませんが、爽やかな学園ものも多く手がけています。
こちらもその一つで、映画化もされた人気作品です。
映画を見た上で小説も読むと、あまり本を読まない中学生でも、内容を理解しやすいかもしれません。
文章自体も読みやすいですよ。
8位 猫弁天才百瀬とやっかいな依頼人たち 大山淳子
冴えない容姿でモテないが、天才弁護士の百瀬太郎。
目下婚活中だが30連敗中だ。
心優しい百瀬は事務所でたくさんの猫を飼っており、通称猫弁と呼ばれており、少々変わった依頼を解決していく。
人のいい猫弁は、冴えない雰囲気ですが持ち前の人の良さで事件を解決していきます。
猫弁の周囲の人たちも少し変わっていますが皆いい人ばかり。
読み終えると温かい気持ちになります。
終始ほのぼのとした雰囲気で文章も読みやすく、中学生にもおすすめです。
シリーズもので、百瀬を取り巻く人間模様がどうなっていくかも気になるポイントです。
9位 シャーロック・ホームズの冒険 コナン・ドイル
ホームズと、ワトソンのコンビの掛け合いと謎解きを楽しめる作品。
石田文子さんの翻訳による全12編の短編集。
シャーロック・ホームズの冒険は、長年世界中で読み継がれる名作中の名作です。
しかし、いろいろな翻訳者が翻訳をしており、中には読みにくいものもあります。
でも石田文子さんが翻訳したものは、現代的な言葉遣いで、中学生にも親しみやすいでしょう。
ホームズとワトソンのキャラクターが魅力的なところや、ストーリー展開がわかりやすいところも中学生におすすめのポイントです。
10位 夜のピクニック 恩田陸
夜通し歩き続けるという北高校最後の行事「歩行夜」。
貴子はこの行事にある決意を秘めて挑んでいた。
貴子と友人たちは思い出話を楽しみながら歩き続ける。
そのなかで徐々に貴子の隠された決意が明らかに。
高校生が主人公で、ミステリー推理小説としての側面よりも恋愛小説という側面の強い作品です。
主人公と年齢の近い中学生なら登場人物に共感しながら物語を読み進められるのではないでしょうか。
読後感も爽やかなので、中学生にも安心しておすすめできます。
11位 しゃばげ 畠中恵
江戸でも指折りの薬種問屋の息子一太郎は、体が弱いのが玉に瑕だが、優しい性格で皆から愛されている。
そんな一太郎が、江戸の事件を妖怪たちとともに解決する。
「時代小説なんて古臭い」と思う中学生もいるかもしれませんが、この推理小説は、時代小説ということを感じさせない面白さで中学生でもあっという間に読み終えてしまうでしょう。
優しい気持ちにさせられるところも、中学生におすすめできるポイントです。
12位 冷たい校舎の時は止まる 辻村深月
いつもと変わりなく高校に登校した8人は、なぜか他に誰もいない校舎に閉じ込められる。
そこで8人は2ヶ月前に亡くなった同級生が頭に浮かぶが、なぜか誰もその同級生の顔と名前を思い出すことができない。
辻村さんならではの心理描写の丁寧さが光る作品です。
登場人物の背景がしっかり描かれており、感情移入しやすいでしょう。
学園ドラマとして楽しむこともできるので、推理小説をあまり読んだことのない中学生にも親しみやすいのではないでしょうか。
13位 真夏の方程式 東野圭吾
ガリレオシリーズの長編作品。
湯川は仕事で玻璃ヶ浦の旅館に宿泊する。
そこは恭平という少年の伯母一家が営む旅館で、夏休みの恭平も遊びに来ていた。
そこで起こった殺人事件。その真相に湯川が迫る。
湯川と少年のやりとりが心に残る作品です。
探偵ガリレオシリーズは、トリックが秀逸でエンタメ性も高く、どの作品も中学生が読みやすいと言えるでしょう。
さらにこの作品は少年が活躍するストーリーということで、一層中学生が親しみやすく仕上がっています。
推理小説を読み慣れない中学生にとっては、驚きの展開かもしれませんね。
14位 配達あかずきん―成風堂書店事件メモ 大崎梢
杏子が勤務する書店成風堂では、小さな事件がよく起こる。
それらの事件を大学生アルバイトの多絵とともに解決していく。
この推理小説の作者大崎さんは、元書店員なのだそう。
そのせいか、書店の描写にリアリティがあり、それが一層物語に没頭させる要因となっています。
どの謎もほんの小さなものですが、「どうなるんだろう」と気になるものばかり。
短編集なので、中学生でも読みやすいでしょう。
15位 謎解きはディナーのあとで 東川篤哉
刑事の宝生麗子は、世界に名をはせる「宝生グループ」の令嬢。
そんな麗子は難事件の推理の手伝いを、執事の影山に依頼している。
そんな麗子に影山は毒舌を浴びせる。
麗子と影山の掛け合いがコミカルで、本を読むとすぐに飽きてしまう中学生でもどんどん読み進められそうです。
文章もわかりやすく謎解きもそれほど難解ではないので、気軽に楽しめますよ。
16位 化学探偵Mr.キュリー 喜多喜久
大学で化学の准教授をする沖野春彦は、大学内で起こる事件を化学の知識を使って解決していく。
日常の謎を扱っており、ポップで軽い仕上がりです。
ちょっとした恋愛要素も楽しめます。
簡単な化学の知識が出てくるので、勉強にもなりそうですね。
17位 和菓子のアン 坂木司
梅本杏子は、デパ地下の和菓子屋に勤めている。
そんな杏子は来店するお客さんの小さな謎を解きながら店員として成長していく。
推理小説としてだけでなく、アンを中心とする人間ドラマとしても楽しめます。
和菓子の描写が丁寧なので、甘いものが好きな中学生にもおすすめです。
成長途中の中学生は、アンの成長物語をきっと身近に感じるでしょう。
18位 心霊探偵八雲1 赤い瞳は知っている 神永学
斉藤八雲は、赤い瞳を持っており、その瞳で死者の魂を見ることができる。
そんな八雲のところには大学内で起こった様々な事件が持ち込まれ、その特殊能力を利用し次々と解決していく。
漫画やアニメにありそうな設定なので、中学生にはとっつきやすいのではないでしょうか。
物語自体も短編で読みやすいでしょう。
八雲を中心とした人間模様や恋愛要素も楽しめますよ。
19位 Another 綾辻行人
榊原恒一は、1998年の春に夜見山北中学に転校した。
しかしクラスの奇妙な雰囲気に違和感を持つように。
そんななかクラス委員長の桜木が死亡する。
クラスの中で何が起こっているのか、恒一は探り始めた。
上下巻に分かれた長編のミステリー推理小説ですが、中学生が主人公ということで物語に入り込みやすく、本をよく読む中学生なら一気に読めてしまうでしょう。
ホラーと本格的な推理が一体化した内容で、エンタメ要素が満載。
そんなところも長編なのに飽きさせない理由でしょう。
20位 屍人荘の殺人 今村昌弘
大学のミステリー愛好会に所属する葉村譲は、同じミステリー愛好会の会長である明智恭介に映画研究会の夏合宿に潜入しようと誘われる。
そこに同じ大学の剣崎比留子も加わり、無事夏合宿に参加するも、そこで連続殺人事件に巻き込まれてしまう。
葉村たちはどうなるのか。
奇想天外な設定が話題となった作品で、映画化もされました。
映画よりも文章で読むほうがこの推理小説の驚愕の展開を堪能できるでしょう。
スピード感のある展開で、中学生でも飽きずに最後まで読めますよ。
21位 陽気なギャングが地球を回す 伊坂幸太郎
それぞれに天才的な才能を持つ銀行強盗4人は、これまで失敗したことがない。
そんな4人が強盗したお金を横取りされるという失態を犯す。
お金を取り戻すことはできるのか。
4人の強盗たちのやりとりがコミカルで、中学生でも最後まで飽きずに読むことができますよ。
スカッとしたラストで読後感がスッキリするのも魅力です。
22位 六番目の小夜子 恩田陸
とある高校に転校してきた謎めいた美少女津村沙世子。
その高校には、3年に1度見えない誰かにサヨコと呼ばれる生徒が選ばれるという謎のゲームが受け継がれていた。
物語全体に不穏で奇妙な空気が流れている推理小説です。
学園ものなので、中学生には親しみやすいのではないでしょうか。
「サヨコってなに?」と気になりどんどん読み進めてしまいますよ。
ホラー要素もあるので、怖い話が好きな中学生にもおすすめです。
23位 ソロモンの偽証 宮部みゆき
ある中学校で男子学生の遺体が発見される。
彼は自殺なのか他殺なのか。
マスコミの過剰報道がきっかけで、犯人探しは加速する。
そんななか刑事を父に持つ藤野涼子は、彼の死の真相を探るため、学級内裁判を行うことに。
全6巻の長い物語ですが、死の真相が気になりどんどんページをめくってしまいます。
また中学生たちの心理描写が秀逸で、あの時代特有の雰囲気がよく出ています。
そのため中学生が読むと、一層共感しつつ読み進められるのではないでしょうか。
24位 医学のたまご 海堂尊
人気シリーズ「バチスタシリーズ」と関連する青春ミステリー。
14歳の曾根崎薫は、桜宮中に通うなんの変哲も無い中学生。
そんな彼がなぜか日本一の天才少年となり東城大学の医学部で研究をすることに。
ヨシタケシンスケさんのとぼけたイラストがいい味を出している推理小説です。
研究とはどういったものなのかが様々な事件を通してわかります。
海堂さんが小学生の娘さんに意見を聞きつつ書き進めたとのことで、非常に丁寧でわかりやすい文章に仕上がっています。
中学生が理系科目に興味を持つきっかけにもなるかもしれませんね。
25位 ネバーランド 恩田陸
冬休みの男子校の寮は、皆里帰りをしており人気が少ない。
事情を抱えて寮に残った4人の少年に巻き起こった事件とは。
4人のキャラが魅力的で、その4人が自分と向き合っていく姿はきっと中学生なら自分と思わず重ね合わせてしまうことでしょう。
重い話もありますが、読後感は爽やかです。
26位 死者の学園祭 赤川次郎
高校生真知子の通う高校で、殺人事件が起こった。
真知子は真相を突き止めようと奮闘する。
読みやすさに定評のある赤川次郎さんの推理小説。
しかもこの作品は高校生が主役ということで、一層親しみやすいでしょう。
思春期特有の心理描写も秀逸で、中学生なら感情移入しつつ、どんどん読み進められますよ。
27位 午前零時のサンドリヨン 相沢沙呼
須川は、同じ高校の酉乃初に一目惚れした。
そんな彼女は実はマジックの達人で、学校で起きる不思議な事件を、マジックの技を使って解決していく。
「第19回鮎川哲也賞」を受賞した作品です。
4つの短編から成っており、一つの話が短いので「なかなか最後まで本が読めない」という中学生でも最後まで飽きずに読めそうですね。
学校が舞台の話なので中学生に親しみやすいところもポイント。
優しく温かい雰囲気なので、怖い推理小説が苦手な子でも読みやすいでのはないでしょうか。
当然面白い。
28位 死なない生徒殺人事件 野崎まど
生物の教師伊藤は、赴任先の女子校「私立藤凰学院」の同僚や教え子から、「この学校には永遠の命を持つ生徒がいる」という噂を聞かされる。
そして伊藤はその死なない生徒に話しかけられ、その後死なない生徒が遺体で発見された。
ラノベなので、中学生にも読みやすい文体で、読書に不慣れな子でもとっつきやすいでしょう。
この物語のテーマは、「命」。
奇想天外な設定ですが、その設定から生きるとは一体どういうことなのか考えさせられるのではないでしょうか。
29位 密閉教室 法月綸太郎
密室の教室で、机と椅子がすべて消え、遺書とクラスメイトの遺体があった。
推理マニアの工藤はこの謎に挑むが…。
事件の推理だけでなく、登場人物たちの人間模様もこの推理小説の肝です。
思春期特有の心の動きには、年齢の近い中学生なら共感できるのでは無いでしょうか。
推理部分は、どんでん返しの連続で結末が全く読めません。
30位 オチケン! 大倉 崇裕
オチ・ケンイチは大学の落語研究会(オチケン)に誘われいつの間にか入会させられていた。
そして色々な事件を解き明かす羽目になる。
落語の世界と謎解きの融合という、これまでにない設定の作品です。
ほのぼのとした雰囲気と、コメディタッチなストーリーが中学生にも親しみやすいでしょう。